⚠️ 免責事項:本記事は筆者個人の体験・見解にもとづく情報提供を目的としています。投資・資産運用は元本割れのリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。特定の金融商品・サービスへの投資を推奨するものではなく、実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。
こんにちは、市立病院で看護補助者として働く50代のくらともです。
別記事で市公務員看護補助者の退職金を試算したら、ある重大なことに気づきました。
私、退職金とは別にiDeCoも積み立ててるけど、これって出口(受取時)でちゃんと税金優遇を受けられるの?
調べてみると、2026年1月の税制改正でiDeCoと退職金の受取ルールが大きく変わっていたんです。今までFP記事でなんとなく見たことある程度の知識だったので、改めて自分のケースで試算しなおしました。
iDeCoを真面目にやっている人ほど、出口を間違えると税金で数十万円差がつきます。50代の今こそ「受取設計」を考え始めるベストタイミング。
私のiDeCo履歴と現在の積立額
簡単に私のiDeCo歴を整理します。
2018年(43歳)から加入開始
〜2024年12月:月12,000円(公務員の旧上限)
2025年1月〜2026年7月:月20,000円に増額(上限引き上げ)
2026年4月時点の累計拠出額は約132万円。運用商品は外国株インデックス中心です。
55歳・60歳・65歳までの積立シミュレーション(年利3%想定)
この先も今のペース(月2万円)で続けたら、いくらになるのか。
| シナリオ | 加入年数 | 元本 | 運用益込み見込み |
|---|---|---|---|
| 55歳まで(2030年12月) | 13年 | 約246万円 | 約290〜310万円 |
| 60歳まで継続 | 18年 | 約366万円 | 約450〜480万円 |
| 65歳まで継続 | 23年 | 約486万円 | 約650〜700万円 |
これとは別に、毎年の所得控除メリット(月2万円拠出なら年4〜5万円の節税)もあります。55歳まで続ければ累計約50〜60万円の節税効果。
2026年税制改正で何が変わった?
ここがいちばん重要なところ。「iDeCoと退職金は両方とも退職所得控除が使える」のですが、両方を近いタイミングで受け取ると、控除の重複部分がカットされます。
そのルールが、2026年に厳しくなりました。
iDeCoを先に受取→退職金:従来「5年ルール」だったのが「10年ルール」に延長/退職金を先に受取→iDeCo:従来通り「19年ルール」
つまり、間隔を空けても20年近く待たないと両方の控除をフルには使えない、という仕組みなんです。
出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)、国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収、前の退職手当等が同一年に複数ある場合の退職所得控除額の計算の特例|東京国税局
2026年1月施行の改正内容(5年→10年ルール延長)は、本記事執筆時点(2026年4月)の解釈に基づきます。経過措置や施行細則の詳細は、最終的に国税庁の最新タックスアンサーまたは税理士・FPへの確認を推奨します。
受取方法は3つ:一時金・年金・併用
iDeCoの受取は60〜75歳の間で、3パターンから選べます。
| 受取方法 | 使える税優遇 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得控除 | 退職金が控除枠を使い切らない人 |
| 年金(分割) | 公的年金等控除 | 退職金が小さく、毎年の年金枠に余裕がある人 |
| 併用 | 両方 | 金額が大きい人のバランス調整 |
同年受取の落とし穴と「長い方の年数で控除1回」ルール
退職金とiDeCoを同じ年に受け取る場合は、19年ルール・10年ルールではなく、「長い方の勤続/加入年数で退職所得控除を1回算出する」という特例ルールが適用されます。
つまり「60歳定年(勤続18年)+同年iDeCo一時金(加入17年)」なら、長い方の18年で40万×18=720万円の控除を1回だけ使う、という計算です。
【ケースA】60歳退職+60歳iDeCo一時金受取
勤続年数:18年(43→60歳)
iDeCo加入年数:17年(2018→2035年)
退職所得控除:長いほうの18年で算出
= 40万円×18年=720万円
受取総額:退職金800万+iDeCo450万=1,250万円
退職所得:(1,250-720)×1/2=265万円
所得税:265万×10%-9.75万≒約17万円(復興特別含む)
住民税:265万×10%=26.5万円
税金合計:約44万円
手取り:約1,206万円
【ケースB】65歳退職+65歳iDeCo一時金受取
勤続年数:22年(43→65歳)
iDeCo加入年数:22年(2018→2040年)
退職所得控除:800万円+70万円×(22-20)年
=940万円
受取総額:退職金975万+iDeCo675万=1,650万円
退職所得:(1,650-940)×1/2=355万円
所得税:355万×20%-42.75万≒約29万円(復興特別含む)
住民税:355万×10%=35.5万円
税金合計:約64万円
手取り:約1,586万円
60歳プラン・受取方法を変えるとどうなる?(年金受取シミュレーション)
ケースAの「税金44万円」、けっこう痛いですよね。じつはiDeCoを年金受取に切り替えるだけで、税金は劇的に減ります。
60歳:退職金800万円だけ一時金受取
退職所得控除720万円
退職所得=(800-720)×1/2=40万円
所得税:40万×5%≒2万円
住民税:40万×10%=4万円
税金合計:約6万円✨
60〜70歳:iDeCo450万を年45万×10年分割で受取
公的年金等控除(65歳未満60万、65歳以上110万)の枠内
→ ほぼ全額非課税
受取方法別の手取り比較(60歳プラン)
| 受取方法 | 税金 | 手取り |
|---|---|---|
| 退職金+iDeCoを同年一時金 | 約44万円 | 約1,206万円 |
| 退職金は一時金・iDeCoは年金受取 | 約6万円 | 約1,244万円 |
| 差額 | -38万円 | +38万円 |
受取方法を切り替えるだけで38万円の節税効果。退職金が控除枠ギリギリ〜近い金額の人ほど「iDeCoは年金で受け取る」選択が効いてきます。
ここ要注意。「iDeCo年金受取で非課税」が成り立つのは、他の公的年金(老齢厚生年金・老齢基礎年金)や再雇用給与との合算が公的年金等控除の枠内に収まる場合だけです。65歳から老齢年金を受け取り始めると、iDeCoの年金分と合算で枠(年110万)を超え、課税対象になるケースもあります。実際の受取設計は、年金受給開始時期・再雇用の有無を含めてシミュレーションし直してください。
65歳プランも同じ考え方
65歳まで働いた場合も、退職金975万+退職所得控除940万なら、退職金単体ではほぼ控除内。iDeCo675万を10年年金受取にすれば、年67万円ずつ→公的年金等控除(65歳以上110万)の枠内に余裕で収まります。
つまり「退職金とiDeCoの受取年は一時金で被せず、iDeCoは10年分割で年金受取にするのが税制的に優位」。これが2026年改正後の私の結論です。
私の結論:退職金は一時金、iDeCoは年金受取
3つの観点で整理すると──
| 観点 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 拠出時の節税 | ◎ 得 | 累計50〜60万円の所得税・住民税減 |
| 運用益(非課税) | ○ 得 | 通常20%の運用益課税がゼロ |
| 受取時の税金 | △ 工夫が必要 | 一時金受取だと19年ルール抵触の可能性 |
結論:iDeCoを続けるのは間違いなく得。ただし、出口は「年金受取」に切り替えるのが私の正解。
iDeCoの受取方法は60歳になってから選べます。今から確定する必要はないけれど、「退職金とiDeCoの受取タイミング・方法は早めに考えておくべき」ということだけ頭に入れておくと、55歳・60歳時点で慌てずに済みます。
さいごに|出口の選択は60歳直前で再判断する
50代でiDeCoの出口を考えはじめてよかったのは、「今の積立をどう微調整するか」まで含めて考え直せたこと。
実はこの試算をきっかけに、私はiDeCoを月2万→月5千に減額して、差額をNISAに回す決断もしました。その理由は別記事にまとめます👇
iDeCoを月2万→5千に減額、差額をNISAに回した理由【50代の流動性戦略】
退職金本体の試算はこちら👇